えっ?就活において資格は有利に働くの!?就活支援のプロが解説

# 転職で失敗しないために

  • 就職活動で資格があると有利になるの?
  • 資格がないから就職活動が不安
このようにお悩みではありませんか?

就職活動で資格を持っていることで、有利になるのか気になっている学生は意外と多いです。

そこで当記事では、就職活動で資格を持っていることで有利になるかどうかを解説します。

    この記事のまとめ

  • 就活に資格はなくても全く問題なし!
  • 面接や仕事にプラスになる資格もある
  • 就活で資格をアピールするなら取得までの過程も含めて伝える

企業タイプ診断

資格は就活に有利になるのか!?

当記事のテーマは「就活に資格は有利になるのか」ということです。

就職活動が始まるころになると「内定は取れるのかな」と漠然とした不安に襲われてしまいます。

何か資格を持っていると有利になるのではないか?と考え、調べ始める方もいるでしょう。

基本的に大学生の就職活動においては「資格は無くても大丈夫」とお考えください。

理由は、日本の新卒採用では必ずしも「即戦力」を求めているわけではないからです。企業側は学生の将来性を見込んで潜在能力を評価し、採用を行っています。

つまり「今、何ができるか」ではなく「将来何ができるようになるか」という視点で評価をしています。

資格に関しても同じように考えている企業は多く、「今どんな資格を持っていてどんなスキルがあるのか」という視点はそれほど重視しておらず、入社してから必要な資格を取って、戦力に育って欲しいと考えています。

よって、資格は持っていなくても大丈夫ですのでご安心してください。

とはいえ、持っていることで有利に働く場合も当然あります。それは面接で有利になるケースもありますし、入社後に仕事生活の中でプラスになるケースも考えられます。

まずは、有利になる資格はどんなものがあるか、そして面接の際にはどうアピールしていけば良いのかを紹介します。そして「資格が無くても大丈夫」という理由もお教えします。

また就職活動を始める前に、まずは就活の流れを確認しましょう。おおまかな就活のスケジュールを知っておくだけでも、スムーズに就活を進めることができるでしょう。

企業タイプ別の選考スケジュールについても解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

合わせて読みたい:【26卒】早い人は就活をいつから始めてる?就活スケジュールとポイント

就活に有利な資格6選

①TOEIC・実用英語技能検定

【TOEIC】

開催時期合格率公式サイト
おおよそ1ヵ月に1度公表なし【公式】TOEIC Program

【英検】

開催時期合格率公式サイト
年3回公表なし英検(実用英語技能検定)

外資系企業で働くうえで必ずと言っていいほど必要な能力です。日常的なコミュニケーションから専門的なやり取りまで意思の疎通ができないと仕事になりません。

他にも、海外赴任の可能性があるメーカー・商社、あるいは、海外とのやり取りがある仕事に就くのであれば求められる能力といえます。

昨今ではインバウンド需要により、訪日外国人観光客が増えるなか、飲食店や小売店といった国内の接客の仕事においても活用できる可能性が増えています。

仕事場面を想定して、上手くアピールにつなげましょう。

②日商簿記検定

開催時期合格率公式サイト
級にもよるが、おおよそ年に2~3回開催1級:16.8%(2023.11)
2級:11.9%(2023.11)
3級:33.6%(2023.11)
簿記 | 商工会議所の検定試験 (kentei.ne.jp)

経理職に就く際に必要な資格です。

ただ、日本は「総合職」という言葉の通り、仕事内容を限定して採用を行ってはいないので、新卒採用の段階では経理職募集と求人が出ているケースは少ないと考えられます。

しかし、面接で経理の仕事をしたいこと、そのために簿記の資格を持っていることはキャリアにおける意思表示になることは間違いありません。

そういった点では、面接におけるアピールになりえるでしょう。

もちろん、経理職を志望していなくても、営業職や事務職であっても売上や企業データの数字を理解するうえで役に立つことは間違いありません。

③ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP技能検定)※日本FP協会参考

開催時期合格率公式サイト
年3回(1級のみ年に1回)2級(2023.9)
学科:53.54% 実技:52.02%
3級(2023.9)
学科:74.78% 実技:77.67%
日本FP協会 (jafp.or.jp)

銀行や生命保険といった金融業界で働く人たちがよく取得している資格です。個人の家計や資産運用のアドバイスをする際に役立つ資格といえます。

多くの場合は入社後に取得するケースが多いようですが、金融業界に興味を持っているなら、業界のことを知るために資格取得の勉強をすることはプラスになるはずです。

そして仕事で活かすことのみならず、金融リテラシーを高めることで、自分自身の人生設計に役立つことも間違いないでしょう。

④MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)資格

開催時期合格率公式サイト
全国一斉試験は毎月1~2回。
随時試験は全国約1500の試験会場で毎日開催。
公表なしMOS公式サイト

マイクロソフト社が行っている資格試験で、Word、Excel、PowerPointといったMicrosoft Office製品の知識・操作技術を証明するためのものです。

社会に出るとPC業務の中でこういったソフトを使用することが多く、特に事務系の職種に就くうえで役に立つ資格と考えられます。

ただ、あくまで基本的な知識でもあり、入社後に働きながら覚えていくものでもあります。

面接でどれだけ評価されるかは企業・面接官にもよりますが、知識を持っている方が入社後の仕事生活への順応が早いと考えられます。

⑤秘書技能検定試験

開催時期合格率公式サイト
年に2~3回1級:28.3%
準1級:41.4%
2級:57.5%
3級:69.3%
(第131回の結果)
ビジネス系検定

「秘書」という特定の職種の名前がついているように、秘書業務で必要なマナーや振舞いについての知識が問われる資格です。

社会人生活を送るうえでの、大切なビジネスマナーなどを学ぶことができます。

よく似た資格に販売士やサービス接遇検定といった別の職種や仕事の場面での知識を問われる資格もあります。

どの資格も仕事生活での他者とのコミュニケーションにおいて役立つと言えます。

⑥ITパスポート資格

開催時期合格率公式サイト
随時(※地域により異なる)随時 50%前後ITパスポート試験

ITに関する基礎知識を問われる試験と言われています。

IT業界におけるシステムエンジニアの採用の裾野が広がってきた今、専門的な勉強をしていない学生もその採用対象になりえる時代となりました。

また、エンジニア職に就かない方でも、この資格を持つことで、IT時代のビジネス基礎スキルとして評価されつつある資格です。

IT人材不足が叫ばれている昨今。IT系の資格を持っているだけで、選考に有利になり得る可能性があります。

また学生自身も基礎の知識があれば安心でき、仕事への対応力も早くなります。

資格は手段であって、目的ではない

就職活動や将来の仕事で役に立つ可能性のある資格について紹介をしてきました。

次に資格を取るうえで注意をしなければいけない点をお伝えします。それは資格は「手段であって目的ではない」ということです。

「資格を取ることが目的になってしまう」これはどういう意味か。本来、資格とは何か目的があって取得するものと言えます。

〇〇ができるようになりたい、××をするために必要だ、といったように、“将来のやりたい仕事”、つまり目的があって、その目的を達成するためににどんな資格を取るのかを考える必要があります。

資格を取ること自体が目的になってしまうと、就職活動でも「どうしてその資格を取ろうと思ったの?」と質問されても、大した返答ができずに低い評価を受けてしまう危険性があります。

くれぐれも「なんとなく頑張った感を得たい」といった、取ることだけを目的に資格を取ろうとすることはおススメできません。

たびたびお伝えしていますが、資格は無いなら無いで大丈夫です。それよりも、働きたい企業を見つけ、その企業がどのような人物像を求めているのか、企業研究をしっかりするべきです。

企業研究のやり方については以下の記事で詳しく解説しています。

合わせて読みたい:企業研究のやり方とポイントを解説|おすすめツール6選も紹介



就活で資格をアピールする上での注意点

ここまでは「これから資格を取ろうかな」と考える方に向けての内容でした。

ここからは「すでに資格を持っている方」に対して、面接やエントリーシートでどうアピールしていくのか、どんな視点が重要なのかを紹介をします。

資格を持っているだけではアピールにならない

資格を持っているだけでは残念ながらアピールにはなりません。

確かに、在学中に税理士や弁護士といった難関資格を取得したり、TOEICのスコアが900点台だったり、面接官からするとそれだけでもすごいと感じる場合もあるでしょう。

しかし、資格を持っているからと言って、いきなり仕事ができる状態になることはなく、誰しもが必ず仕事を一から覚えていかなければいけません。

ある研究者の論文では、看護師や美容師といった専門的な職業教育を受けた若者であっても、学校を卒業して働き出すと、一から仕事を覚えなければいけないという研究データがあります。

資格を持っているだけではアピールにはならないのです。

ではどうすれば良いのか。それは資格を取る過程(プロセス)のなかで、どんなことを頑張って、どんな知識を得て、どんな成長があったのかをアピールすることが重要になります。

これは資格のみならず、部活動の全国大会で1位になった、アルバイトで売上ナンバー1になった、趣味の一人旅で世界一周を成し遂げた、という話も同じで、その過程(プロセス)のなかでどんな自分の性格・人柄を伝えることができるかが大事になります。

合わせて読みたい:【例文あり】絶対に真似したいガクチカの書き方4ステップ!

日本の就職活動では、欧米のジョブ型雇用のようにジョブが明確になっていて、それに当てはまるスキルが必要というわけではなく、将来性や可能性を評価されて内定を得ることができます。

将来仕事ができるようになるのか、を見極めるために面接官は学生の皆さんの人柄や性格を知りたいわけです。

それを過程(プロセス)を説明することで、面接官に伝えることができます。

資格を持っているかどうかではなく、人柄や性格を伝えるために、資格取得の過程(プロセス)をアピールするようにしてください。

また重要なのは資格どうこうよりも、就活で必ず聞かれる自己PRと志望動機で個性を出しつつ効果的にアピールすることです。

詳しい自己PRと志望動機の書き方はそれぞれ以下の記事で解説しています。コピペ可能な例文もありますので、ぜひ参考にしてみてください。

合わせて読みたい:【コピペ可】新卒のための自己PR例文集!書き方のポイントも解説



合わせて読みたい:個性が光る新卒の志望動機の書き方!業界歴15年のプロが解説

履歴書に書けない資格はあるのか?

「この資格は書いて良いのでしょうか?」「TOEIC何点以上なら書いていいのでしょうか」という相談をよく受けます。

私がいつも行っているアドバイスは「書いてはいけない資格はない」ということです。

公開されているTOEICの平均点から「〇〇点以上なら書いて良いよ」とインターネット上では論じられることもあるようですが、上記でも伝えたように、大事なことは資格の勉強の過程(プロセス)であり、結果だけではありません。

低いスコアだったとしても、過程(プロセス)でアピールできることがあるなら、書かないとその過程(プロセス)を伝えることは絶対にできません。

書けることがあるなら、まずは書いてチャレンジしてください。予想とは違った評価をされたり、話が盛り上がる可能性もあります。

ただ、履歴書に書くからには質問される可能性があるので、しっかりとその準備はしておいてください。

中学・高校時代に取った資格について質問されても、昔のこと過ぎて思い出せない、では書く意味がありません。

書くからには質問される、質問されるからにはアピールする、という準備をしてください。

資格が無くても就活は大丈夫!

ここまで度々「資格が無くても就活は大丈夫」とお伝えしてきました。その理由をここでは詳しくご紹介します。

資格に関するアンケート調査の結果によると…

不足していると思う能力要素データ 出典:大学生の「社会人観」の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査 - 経済産業省

2010年に経済産業省が公表した『大学生の「社会人観」の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査』というものがあります。

少し古いデータですが、普遍的な内容で参考になりますのでご紹介します。

上記は企業の人事採用担当者1,179人と日本人学生1,598人を対象に行ったアンケート調査です。学生には「不足していると思う能力要素」人事採用担当者には「学生に不足していると思う能力要素」を聞きました。

そこでは、「簿記・PCスキル・語学力(TOEICなどの)」が必要だと答えた人事担当者はほとんどいませんでした。

対して、「主体性・コミュニケーション力・粘り強さ」が必要だと答えた人事担当者の方が圧倒的に多かったというデータがあります。

学生が思っているよりも、人事担当者たちは資格や語学力を必要と考えているわけではなかったのです。

その理由としては、度々述べてきた通り、日本の新卒採用では欧米のようにジョブとスキルが明確になっているジョブ型雇用ではなく、将来性を評価しようとするスタンスが主流だからです。

簿記やPCスキル・語学力などは入社してから身につければいいとも考えているのです。

「〇〇の資格を持っているので、今××ができる」よりも「〇〇の資格を取る過程で、△△を学んだ(が成長した)」という視点でアピールしてください。

過程(プロセス)が大事なのは資格だけじゃない

将来性を評価しようとするスタンスが主流であることを考えると、過程(プロセス)が大事なのは資格の話だけではなく、アルバイト・部活動・ゼミ活動・留学などどんな体験談・アピールでも大事と言えます。

つまり「自己分析」が重要になるわけなのです。

「自己分析」とは過去の体験談を整理し、説明できるように準備することと考えられますが、アルバイト・部活動・ゼミ活動・留学といった体験談も同じように、ゴールに辿り着くために途中でどんな行動をしたのか、どんなことが大変で頑張ったのか、をしっかりと言語化しておきましょう。

自己分析にはWill-Can-Mustのフレームワークが有効です。自分がやりたいこと(Will)、できること(Can)、 やるべきこと(Must)を整理して考えることで、自分の考えを客観的に整理することができます。

こちらの記事では、Will-Can-Mustのフレームワークを含めた3つの自己分析の方法を紹介しています。ぜひ自分に合った方法で自己分析をしてみましょう。

合わせて読みたい:転職に必要な自己分析のやり方を徹底解説|3つの方法を紹介します



就活でお悩み全ての方へ

いかがでしたでしょうか。

大学生の就活に資格は有利になるのか、が本記事のテーマでしたが、面接でアピールになったり仕事生活にプラスになったりと良い影響を生み出す資格もあります。

とはいえ、日本の新卒採用はスキルよりも人柄や性格が会社にマッチしているかどうかが重視される傾向にあるので、企業分析・自己分析をしっかりと行って、自分に合う会社を上手く見つけるようにしてください。

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占部 礼二

この記事を書いた人

占部 礼二
関西大学を卒業後、人材派遣のパソナで法人営業を経験。その後独立し、就活支援やキャリア支援の事業を開始。大学の非常勤講師としてキャリア教育・就職支援なども行う。「分かるようになる」から「できるようになる」事をモットーに、自己PR・面接など就活について教えている。著書に「完全内定 絶対書ける!志望動機」「エントリーシートと自己分析をひとつひとつわかりやすく」

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