内定者フォローのやり方を事例を交えて解説!手段とポイントとは?
# 採用
人材獲得競争が激しくなると、複数の企業から内定をもらう学生が増えます。
学生は内定をもらった企業の中から自分に合う企業を選べるようになります。
結果として、直前で内定を辞退されてしまい、採用活動に苦戦を強いられる企業が増えています。
当記事では、内定者フォローのポイントや、基本的な流れを紹介しています。
貴社の採用活動をより良いものにするためにも、当記事を参考にしてみてください。
- 内定者フォローの目的は「内定辞退の防止」「早期退職の防止」「入社後の早期立ち上がり支援」
- 内定辞退率が高まるにつれて、内定者フォローの重要性も上がっている
- 内定者の不安を払拭するために何ができるかを考えた施策を行うべき
この記事のまとめ
内定辞退を防ぐための内定者フォローとは何か
内定者フォローとは、内定や内々定を出した学生をサポートするための施策です。
多くは、内定辞退によって採用目標の達成が困難になることを防ぐために行われますが、入社後の早期立ち上がりを後押しするためにも行われる施策です。
内定者懇親会などのイベントや社員面談、内定者研修などを実施して、内定者が入社に対して抱いている不安や疑問を取り除くような活動の全般を指しています。
内定辞退を減らす内定者フォローが注目されている理由
内定者フォローが注目される理由は「学生の内定辞退が増加している」ためです。
『就職プロセス調査(2024年卒)「2023年6月12日時点 内定状況」』によると、卒業時点での内定辞退率(計測当月までに内定や内々定の辞退経験がある人の割合)は、
2021年で57.5%、2022卒は61.1%、2023卒は65.8%となっています。
また、12月1日時点の内定辞退率を比較すると、2021 年卒は 60.9% 、2022 年卒は62.4% 、2023 年卒は 64.6% と年々増加傾向にあることが見受けられます。
このことから、現在の採用市場は、内定を出した学生の 2 人に 1 人以上は内定を辞退する超売り手市場といえます。
そのため、内定者に入社してもらうためにあらゆる対策を講じる必要があり、多くの企業が内定者フォローに注目し、様々な施策を実施していると考えられます。
【要確認】内定者の悩み|内定者フォローを実施する前に。
次に、内定者の悩みについてみてみましょう。内定者の悩みを把握することで、内定者フォローの内容をより濃いものにすることができますので、ぜひご覧ください。
1.同期のつながりが欲しい
内定者の悩みとしてまず挙げられるのが、同期のつながりがほしいということです。仕事において人間関係はとても大切な要素です。
それは、内定者にとっても同様で、内定者通しの交流の場があるだけでも、入社することに対する不安は減少します。
2.会社で働くイメージがわからない
内定者の多くは、内定先の会社はおろか、会社員として仕事をした経験がありません。
そのため、会社で働くイメージができず、会社での業務や環境について不安を感じます。
これは、主に先輩社員とのコミュニケーションを通じてイメージできるはずです。
3.準備したいけど何すれば良いか分からない
内定者の中には高い志を持っていて、入社する前から何かしら入社後に役立つスキルを学ぼうとしている方もいます。
それは、会社でうまくやっていけるのか、最初の研修や仕事での失敗を避けたいという不安があるからこそです。
そんな方に向けて、「先輩社員がやっておけばよかったと後悔したこと」などを伝えると良いでしょう。
内定者としても万全に準備ができ、会社側としても会社で教えるはずだったマナーやスキルを事前に知っていてくれるため、一石二鳥です。
内定者フォロー3つの目的
先に述べた通り、内定者フォローの目的は「内定辞退の防止」であることがほとんどです。
しかしながら、それ以外の目的で内定者フォローに注目し、実行に移している企業もあります。
ここでは、内定者フォローの目的を3つ紹介します。
- 1.内定辞退を防ぐため
- 2.早期退職を防ぐため
- 3.入社後の立ち上がりを加速させるため
1.内定辞退を防ぐため
採用活動は人事担当にとって非常に工数のかかる業務です。
特に新卒採用は決められた期日までにある程度まとまった人数の内定者を確保しなければならないため、年間スケジュールを立て、計画的に動いていく必要があります。
そのため、工数をかけて獲得した内定者の辞退は、人事担当者ならできるだけ避けたい事象といえます。
内定辞退者が発生すると、これまでの工数が無駄になるだけではなく、採用計画の見直しや追加予算の申請が必要になることがあります。
更に、内定者同士でつながりがある場合、他の内定者のモチベーションにも影響を与え、最悪の場合、連鎖的に内定辞退が起こる可能性も否定できません。
翌年以降の事業計画にも影響が出る可能性があることから、内定者をしっかりと繋ぎとめようとする企業が増えるのも頷けます。
エンジニアの内定辞退を防ぐ方法は以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はご覧ください。
合わせて読みたい:エンジニアに内定辞退されてまった!要因は選考過程に問題あり?
2.早期退職を防ぐため
学生と企業のミスマッチを減らすことで、早期離職を防止することも内定者フォローの目的になります。
厚生労働省が発表したデータによれば、令和2年における大卒の入社3年以内の離職者は31.2%(前年比▲1.6P)で、およそ3人に一人が早期離職している状態です。(下記データ参照)
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」
特に新卒採用は戦力化まで時間がかかることが多いため、戦力化の前に退社されてしまうと企業として大きな損失になります。
また、早期退職を防ぐ方法は、こちらの記事で、ベンチャースタートアップに多い退職理由と併せて解説しています。
気になる方はぜひご覧ください。
合わせて読みたい:ベンチャースタートアップで多い退職理由4選|早期退職を防ぐ方法
3.入社後の立ち上がりを加速させるため
会社の雰囲気や業務に触れてもらうことで、入社後すぐに活躍できるようサポートすることも内定者フォローの目的の 1 つです。
具体的には、入社前研修や内定者インターン(アルバイト)などの施策が考えられます。
また、内定後に企業との接点が減ってしまうと、内定者の意欲が下がることがあります。
定期的な接点を持つことで、意欲を持続しやすい状態を作れることもメリットといえます。
内定者フォロー3つのポイント
内定者の自社に対する意向や志望度が下がるほど、内定辞退につながる可能性は上がります。
内定者の志望度を維持するためには、継続的に自社の魅力や入社するメリットを伝える必要があります。
ここからは内定者フォローの実施にあたって意識すべきポイントを以下の3つ紹介します。
- 1.定期的な連絡や情報発信を行う
- 2.社員や内定者同士で交流する機会を作る
- 3.できるだけ社内の情報を開示する
1.定期的な連絡や情報発信を行う
入社前の内定者は多かれ少なかれ不安を感じています。
その内容は「本当に自分が活躍できる会社なのだろうか」「面接で聞いた話は本当なのだろうか」など様々ですが、この不安が大きくなると、企業そのものに対する意欲も下がってしまう可能性があります。
また、不安になった内定者は、入社予定の企業について情報を集めようとします。
口コミサイトなどで、入社予定の企業に関する否定的な投稿を見つけると、企業に対して不信感を抱き、更に不安が加速するという悪循環も生まれます。
これらは、内定者に対して企業からの連絡や情報発信が不足しているために起こる問題です。
そのため、LINEグループ・メーリスなどで内定者と定期的に連絡をとるだけでも、内定者の不安は緩和され、内定者は企業とのつながりを感じ続けることができます。
事務的な連絡ではなく、内定者が不安に感じそうなポイントを洗い出したうえで、これを解消できるような思いやりのあるメッセージを伝えることが重要です。
また、内定者に対して課題を出し、提出された成果物にコメントを記載してフィードバックするのも有効です。
成果物に対して細かくレビューをすると、内定者は企業に対して信頼感をもちやすくなります。
2.社員や内定者同士で交流する機会を作る
内定者はあくまでも入社を予定している社外の人間です。
当然持っている情報は限られており、新たな情報を得る手段も限定的です。
そこで内定者が自社の社員とコミュニケーションをとる機会を設け、相互理解の場を提供することは有効な手段といえます。
若手社員やエース社員などに話を聞ければ、内定者が入社に際して感じている不安を解消しやすくなります。
内定者が「この会社で働きたい」「この会社ならやっていけそうだ」という期待をもてるように、社員とのコミュニケーションプランを設計しましょう。
また、内定者懇親会という名目で内定者同士が交流する機会を設けることも有効です。
入社へのモチベーションアップや、不安の解消、また一体感が生まれることで入社後研修もスムーズにいくことに繋がります。
3.できるだけ社内の情報を開示する
社員や内定者同士の相互理解の場が大切と書きましたが、ただ交流の機会を提供するだけでは内定者の根本的な不安は解消されません。
内定者の不安を解消する情報を提供できているかを意識した情報提供が重要です。
例えば、内定者と社員が相互理解をする交流の場にも関わらず、社員があたりさわりのないことばかりを話していたら、内定者はどう感じるでしょうか。
「何か隠しているのではないか」「まだ外部の人間としてしか見られていないのではないか」と勘ぐってしまう内定者も少なからずいます。
重要なのは、内定者を未来の仲間と認め、可能な範囲で社内の情報を開示していくことです。
現場社員であれば、業務内容だけでなく「 1 日の流れや1週間の流れ」「仕事とプライベートをどうすみ分けているか」「普段同僚や上司とどのように接しているか」など、より実情に近い情報をお伝えすることが望ましいです。
また、企業から伝えるメッセージとしても、「水面下で進んでいる新しい事業」「将来的な組織体制」など、社内の人間出なければ知ることが出来ない情報を含めて伝えることで、内定者の企業に対する興味や仲間意識を高めることができます。
企業情報を上手く伝える方法として、近年注目されているRJP「Realistic Job Preview(リアリスティックジョブプレビュー)」という考え方があります。
RJPについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
合わせて読みたい:採用理論「RJP」とは何か?詳しく解説!採用ミスマッチ削減に有効
内定者フォローの流れ - 事例と共に解説
ここからは、基本的な内定者フォローの流れを紹介します。
ここで紹介する流れと、これまでに紹介したポイントを踏まえて、貴社に合った内定者フォローの流れを検討しましょう。
1.入社意思の確認
内定者フォローの第一段階は、「入社意志の確認」です。
新卒採用であれば「内々定」を出すタイミングからはじまります。
内々定が確定したら、できる限り早いタイミングで学生に告知します。
内定者の不安や疑問の解消、自社での活躍イメージの醸成を通して、入社意思を固める後押しをします。
前述した内定辞退率が年々高くなっているデータから、学生は複数の内定をもらい提示された条件を比較する傾向があると推察できます。
もちろん、雇用条件など採用担当の一存で変更できないものもありますが、「あなたに入社してほしい」という熱意を伝えることで学生に好意的な印象を持たせることは可能です。
内々定の告知をする際に「評価ポイント」や「期待する働き」などの個々の学生にあてたメッセージを添えることで、入社意欲の向上が期待できます。
更に、内定通知を出した内定者に対しては、フォロー面談を実施します。
内定者が入社に対して抱えている不安や疑問を解消するために、丁寧にヒアリングを行い、自社で働く魅力や仕事のやりがいを伝えましょう。
- ・内々定の告知
- ・内定者面談
【実施する内定者フォロー施策の一例】
2.連帯感の醸成
内定者同士や社員を巻き込んだ交流の場を設けることで、双方の距離を縮め、関係性を深めることができます。
内閣官房「就職・採用活動に関する要請」では、正式な内定日を「卒業・修了年度の 10 月 1 日以降」とするよう記載されています。
そのため、多くの企業は 9 月以前は内々定の告知にとどめ、10 月 1 日に内定式を実施し、正式に内定を提示することが通例となっています。
内定式は、内定者が社会人としての自覚をもつきっかけになり、入社への意欲を高めるため「連帯感の醸成」に紐づく施策といえます。
それ以外にも、内定者懇親会や、入社後の先輩になる社員を交えた食事会などを行うことも有効です。
内定者が自由に質問や相談できる場を作ることで、入社に対する不安の解消だけでなく、企業に対する愛着を高めることにつながったり、仲間意識を作ることにつながります。
なお、入社の意向が下がっている内定者がいたり、企業に不満を持っている社員がいると、周囲が引きずられてしまい、連帯感の醸成という目的を果たせなくなります。
実施の際は、参加者の状況や意向に対して注意を払いましょう。
- ・内定式
- ・内定者懇親会
- ・社員交流会
- ・社員面談
【実施する内定者フォロー施策の一例】
3.企業理解の促進
社内の各部署の業務内容や、それぞれの関係・役割を説明することで、内定者はより具体的な企業イメージをつくることができます。
内定者が接点を持てる社員は限られているため、内定者ごとに企業の理解度や持っているイメージは異なります。
内定者の企業理解を底上げすることで、内定者はより企業に興味を持つようになり、企業としても、入社者の育成工数を削減することができます。
このとき、ただ情報を発信することを目的にしてはいけません。
社会人経験のない学生が理解できるように情報発信の内容を精査する必要があります。
- ・社内報の送付(LINEグループ・メーリングリスト)
- ・内定者向け資料の作成と送付
【実施する内定者フォロー施策の一例】
4.業務理解の促進
「配属ガチャ」と呼ばれるように、「入社後どんな業務に就くのかわからない」という不安を抱える内定者は多くいます。
企業で働く社員がどのような仕事をしているのかを見せたり、実際に体験してもらうことで、この不安を払拭することができます。
もちろん、最終的な配属先は、面接時の評価や人員計画によって決まるため、内定者に過度な期待を持たせるような取組みは避けるべきです。
とはいえ、様々な業務内容を紹介することで、「この仕事しかしたくない」と考えている内定者のこだわりを緩和することができます。
- ・職場見学
- ・社内イベントへの案内
- ・内定者アルバイト、内定者インターン
- ・採用動画の発信
【実施する内定者フォロー施策の一例】
業務理解を促進するために、採用動画を活用するのもおすすめです。
内定通知を送る際に採用動画をメールに添付して見てもらうことで候補者の業務理解を深めることが可能です。
以下のように動画ではリアルな雰囲気を伝えることが可能です。
5.早期立ち上がりの支援
意欲的な内定者は、入社後早期から成果を出したいと考えています。
一方で、社会人経験に乏しい学生は、社会人として押さえておくべき基礎知識や心構えを持っているとは言い難いのも事実です。
人によっては、自分自身の掲げている「理想的な社会人像」と、乗り越えるべき課題を多く抱える「実際の自分自身」とのギャップに苦しみ、「環境が悪い」「社会が悪い」と考えて早期退職に踏み切ってしまうこともあります。
内定者の意欲を評価しつつ、社会人として仕事ができるレベルまで引き上げるために、内定者研修を実施したり、課題を課す企業も多くあります。
これらの施策は、内定者同士の仲間意識を高めたり、業務理解の促進にもつなげやすく、内定辞退率を下げる効果的な武器になり得ます。
- ・内定者研修
- ・内定者合宿
- ・通信教育
- ・課題提出の依頼
【実施する内定者フォロー施策の一例】
内定者フォローを実施する際の注意点
内定者フォローは新入社員の入社率や入社後の定着率、活躍するかどうかにも大きな影響を与える重要な施策です。以下の注意点をしっかりと押さえておきましょう。
1.アサインする社員をしっかり選ぶ
内定者フォローにおいて、アサインする社員選びはとても重要です。
選ばれた社員は会社の印象を作り、内定者たちにとっては最初の印象となります。
したがって、人当たりがよく、協力的な社員を選びましょう。
また、最初にNG行動やルールを明確に伝え、円滑なコミュニケーションと協力を促進しましょう。
2.内定者の都合を最優先に考える
社会人の方は見落としがちですが、内定者たちはプライベートの予定や卒業論文、アルバイトなどで意外にも多忙なことが多いです。
そのため、内定者の都合を最優先に考え、予定を立てる際に会社優先にならないように気をつけましょう。
3.個別のイベントも実施する
内定者たちの悩みは、人それぞれ異なります。
そのため、一般的なグループイベントはもちろん、少人数や個別のイベントも検討しましょう。
これにより、内定者たちが個々の質問や関心事に対処しやすくなり、より満足度の高い内定者フォローイベントになるでしょう。
内定者のリアルな悩みをキャッチするという意味でも、個別や少人数のイベントを開くことは有効です。
まとめ:内定辞退に悩む担当者へ
当記事では、内定者フォローが注目されている理由や、実際の内定者フォローの流れを紹介しました。
内定者フォローは、超売り手市場となった新卒採用領域において、優秀な人材を囲い込み、採用競合に奪われるリスクを下げる手段として注目を集めています。
内定を出せば安心と考えてはいけません。
内定を出せる水準の学生を手に入れたからこそ、入社を迎える当日まで丁寧に対応する必要があります。
内定辞退が企業に与える経済的損失や時間的損失は無視できないほど大きなものです。
内定者フォローは結果的に企業の収益に大きく影響すると捉え、適切な施策を実施しましょう。
当記事で紹介した内容を参考に、効果的な内定者フォローの実現に取り組んでみてください。
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- この記事を書いた人
東北大学大学院薬学研究科修了。新卒で株式会社キャリアデザインセンターに入社。大手企業から町工場まで100社以上の採用支援を行う。また300人以上の転職希望者へ面接対策を支援し、多くの転職成功者を輩出。その後SaaS系スタートアップ企業に転職し、新規事業企画とマーケティングに携わる。現在は地域企業の支援をするため、株式会社グローカルへジョイン。
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会社名 | 株式会社moovy |
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代表 | 三嶋 弘哉 |
設立 | 2020年4月13日 |
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