採用マーケティングとは?フレームワークを使って採用活動を最適化する理由

# スタートアップ # 採用

  • 求人広告を出稿しても、応募が集まらなくなってきた
  • 採用サイトで情報を発信しているのに、求めている人材から応募がこない
  • 採用活動のボトルネックがなんなのかわからない
  • こうした悩みを抱えていませんか?

    新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「新しい働き方」の登場、少子高齢化による採用活動の激化など、企業の人材獲得の難易度は年々上昇しています。

    企業は採用競合よりも先に優秀な人材と接点を持つために、様々な活動をするようになっており、その中で「採用マーケティング」という考え方が注目されています。

    当記事では、採用マーケティングの解説を交え、採用にマーケティングの考え方を取り入れるメリットや具体的な手法を紹介します。貴社の採用活動をより良いものにするためにも、当記事を参考にしてみてください。

    採用マーケティングとは

    採用マーケティングとは、企業が新しい従業員を採用するために、マーケティング手法を活用することです。

    採用活動では、求職者に対して企業の魅力的な点や文化、ビジョン、福利厚生などをアピールし、その企業に興味を持ってもらい、採用につなげることが目的です。

    採用マーケティングでは、求人広告や人材紹介の活用、ダイレクトリクルーティングなどの採用手法を個別に考えるのではなく、母集団形成から採用、ひいては入社後の活躍に至るまでをトータルで考え、最適化を目指します。

    この最適化のために、マーケティングの考え方やフレームワークを用いることこそが、採用マーケティングの本質的な姿です。

    母集団形成の手法について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

    合わせて読みたい:中途採用の母集団形成の手法7選!意識すべき「質的な改善」とは



    採用にマーケティングを取り入れるとは

    そもそも「マーケティング」とはなんでしょうか。人によって様々な解釈をされがちな言葉ですが、ビジネスでは「商品やサービスが売れる仕組みを作ること」という意味で用いられることが多い用語です。

    経営学者ピーター・ドラッカーの名著「マネジメント」には、マーケティングは企業の第一の機能とあり、「販売(セリング)とマーケティングは真逆のもの」と強く主張されています。非常に難解な書籍ではありますが、恥を忍んで簡単にまとめると以下のようになります。

    • セリング:商品を作ったから売ろう、商品が売れる市場を探そう
    • ⇒ 企業目線で何を売りたいかを考える
    • マーケティング:顧客が欲しいものを作ろう、顧客ニーズが満たせる市場を探そう
    • ⇒ 顧客目線で何を売りたいか考える

    つまり、「売れる仕組みをつくる」とは、「顧客のニーズを理解し、顧客に合わせること」といえます。では、これらを採用に置き換えるとどのようになるのでしょうか。

    採用における顧客は「求職者」です。また、商品は「ポジション」や「企業そのもの」と言い換えられます。

    もちろん、営利目的の企業である以上、ポジションや企業を求職者のニーズを満たすように全て作り変えることは困難です。あらかじめ埋めるべきポジションや企業が求める人材像が決まっていて、できる限り近い人材を求めることになります。

    しかしながら、自社が求める人材について、彼らが何を求めているのかを理解し、彼らにリーチできる市場や、彼らが求める情報を、彼らの好みに合わせて伝えていく必要があるのはなんとなくイメージできるのではないでしょうか。

    つまり、企業目線で一方的な情報発信をするのではなく、求職者(自社が求める人材像)目線で採用のプロセスを考えていくことが、採用にマーケティングを取り入れるという考え方だと言えます。

    採用市場の現状と課題

    採用マーケティングが注目を浴びている背景には、採用市場の変化があります。ここでは、採用市場の現状と課題について紹介します。

    採用市場の競争激化

    内閣府の調査によると、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少していることがわかっています。また、2030年には6,875万人(2021年比7.7%減)、2050年には5,275万人(2021年比29.2%減)に減少すると見込まれています。 出典:内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」
    そのため、人手不足は一層深刻な問題となり、企業の採用活動はますます激化します。採用の難易度が上がるため、手技手法に依存した場当たり的な採用では太刀打ちできなくなってくることが容易に想像できます。

    求職者が求める企業イメージや待遇の変化

    新型コロナウイルスの拡大がきっかけとなり、Web 会議やテレワークといった新しい働き方が増えています。会社に出社する必要性が薄れたことで、副業(複業)や兼業のハードルも下がっています。

    様々な働き方が増えたことで、私たちはより自由にやりたい仕事を選べるようになっています。

    一方で企業の採用活動はより難しくなるといえます。求職者の仕事選びを制限していた地理的なハードルや時間的なハードルが無くなり、今まで考えてもいなかった採用競合が生まれる可能性があるためです。

    古い価値観のままで採用活動を行うと、苦戦は避けられないといえます。

    採用マーケティング3つのメリット

    それでは、ここから採用マーケティングのメリットについて以下の3点ご紹介します。

    • 1.応募が増える
    • 2.自社にマッチした人材を採用できる
    • 3.コスト削減につながる

    1.応募が増える

    採用マーケティングでは、従来の採用ではアプローチしなかった人材にもアプローチをします。

    例えば、現在は転職を考えていない潜在層や、過去勤務していた社員(アルムナイ)などが該当します。従来よりも採用の母集団が広がるため、応募増加に繋がります。

    2.自社にマッチした人材を採用できる

    採用マーケティングでは、自社の魅力を求める人材が好む表現や伝達方法で発信します。そのため、求職者側も「自分に合う・合わない」の判断がしやすくなり、結果的に採用のミスマッチが減ります。

    3.コスト削減につながる

    求人広告や人材紹介などを網羅的に使うのではなく、求める人材像にリーチできる採用チャネルに絞って採用活動を行うため、結果的に採用コストを削減できます。

    またマッチした人材を採用しやすいことから、早期退職などが減るため、長期的な採用コストや育成コストの削減にも繋げられます。

    採用に応用できるマーケティングフレームワーク

    ここでは、採用に応用できるマーケティングのフレームワークを紹介します。

    採用マーケティングでは、求職者の理解が重要になるため、ペルソナの作成は必須です。それ以外は全て使うのではなく、時間や工数などを考慮して状況に応じて使い分けることをおすすめします。

    ペルソナ

    ペルソナはビジネスシーンにおいて「人」や「人格」を意味するマーケティング用語として使用されます。

    具体的には氏名・年齢・性別・居住地・家族構成などの基本的な項目から、職業・役職・年収などの就労環境、趣味・価値観・生活様式などのプライベートな部分まで詳細に設定したユーザー像を意味します。

    採用マーケティングでは、求職者のニーズや行動パターンを理解する目的で作成されるほか、採用に携わる社員の共通言語として使用したり、採用手法の妥当性を評価する際の基準として使用します。詳しい作成方法については以下を参考にしてください。

    合わせて読みたい:採用ペルソナの作り方を徹底解説!求める人物像を獲得する有効な手法とは?



    3C分析

    3C分析とは Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の項目ごとに分析を行う分析法です。

    元マッキンゼー日本支社長で経営コンサルタントの大前研一氏の著書「 The Mind of the Strategist 」で提唱されたフレームワークであり、事業計画やマーケティング戦略を決定する際など様々な場面で使われます。

    採用マーケティングで活用する場合、「顧客」は「求職者」に置き換えられます。このとき、自社の良い点を応募者に押し付けるのではなく、「求職者のニーズを自社がどのように叶えられるのか」、「採用競合では求職者のニーズが叶えられない理由は何か」など、求職者の目線で整理することが重要です。

    マーケティングファネル(パーチェスファネル)

    マーケティングファネル(パーチェスファネル)とは、顧客が商品・サービスを認知してから、実際に購入するまでの一連の流れを図で表したものです。ファネル(Funnel)とは、日本語で「漏斗(じょうご)」を意味する言葉で、逆三角形の形をしているのが特徴です。

    マーケティングファネルでは、顧客が商品・サービスを知って購入にいたるまでに、「認知(Attention)」「興味(Interest)」「比較・検討(Desire)」「行動(Action)」の段階を経ると考えます。

    顧客がどの段階にいるかによって、適切なアプローチが異なるため、マーケティングファネルと実施しているマーケティング施策を突き合わせることで問題点を浮き彫りにでき、適切な改善を行うフレームワークとして活用されています。

    採用マーケティングで活用する場合は、採用の一連のプロセスを「認知」「興味」「応募」「選考」「内定」「内定承諾」のような段階に分けることになります。

    このファネルと実施している採用施策を突き合わせ、採用活動の効果を測定したり、ボトルネックの特定をするために使います。

    カスタマージャーニー

    カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを知り、購入・利用意向をもって実際に購入・利用するまでの一連の体験を「旅」に例えたものです。

    顧客は日常生活の様々な場面で企業や商品、サービスに触れる機会があります。現代では、マス広告、店頭、Webメディア、SNSなど接点を持つ機会は複線化しています。

    このような環境の中で、見込み顧客に自社の商品・サービスを購入していただくために、一連の顧客体験について一貫性をもって管理していくことが重要です。

    カスタマージャーニーや、それを図示したカスタマージャーニーマップは、接点ごとの顧客体験を可視化し、適切なマーケティング施策を行うために活用されます。

    採用マーケティングで活用する場合も同様に、求職者は求人広告、人材紹介、スカウトメール、SNS など、様々な場面で自社の求人情報に触れることになります。

    接点ごとの求職者の体験や与える印象、新たに形成されるイメージを可視化し、適切な採用手法を実施するために使います。

    採用マーケティングの手法

    ここからは、採用マーケティングで用いられる手法を5つ紹介します。

    • 1. ウェブサイトやSNSでの求人情報の発信
    • 2. ブランディング戦略の策定
    • 3. 求職者向けの広告・プロモーション活動
    • 4. 採用イベントの開催
    • 5. 社員の口コミ・紹介制度の活用

    1.ウェブサイトやSNSでの求人情報の発信

    求人情報の発信において、WebサイトやSNSの活用は必須です。

    Webサイトに、企業情報や採用情報を掲載することで、求職者に企業の魅力をアピールできます。また、SNS は求人情報の発信や、企業の魅力をアピールするコンテンツの発信が可能です。

    これらを活用することで、求職者の興味を引き、アクションを促すことができます。

    以下の記事では、応募が殺到する採用サイトの作り方を詳しく解説しています。エンジニアの採用に関わらず、すべての職種に当てはまるポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

    合わせて読みたい:エンジニアの応募が殺到する!?採用サイトの上手な作り方



    2.ブランディング戦略の策定

    企業のブランドイメージを高めることで、求職者に魅力的な企業として認知してもらいやすくなります。

    昨今では「採用ブランディング」として、自社ならではの魅力を発信し、企業認知度や求職者の入社意欲を高めるなど、「働く場所」としての企業を戦略的にブランド化していこうと取り組む企業が増えています。

    採用ブランディングの情報発信は非常に多面的です。商品・サービスだけでなく企業理念や社風・文化、実際に働く人の情報を、Webサイト、メディア、社員のSNSなど様々な手段で伝えていく必要があります。

    企業の号令で社員を従わせるだけではなく、社員の内発的動機に基づいて発信していくことも重要になるため、企業の制度や待遇の見直しも、採用ブランディングの一貫と言えます。

    3.求職者向けの広告・プロモーション活動

    求職者向けの広告やプロモーション活動は、採用マーケティングにおいて欠かせません。求人情報サイトや、SNS広告を活用することで、多くの求職者に企業情報を届けることができます。

    また、求人票の作成や、求職者向けのパンフレットの配布なども、広告・プロモーション活動の一環として考えられます。

    既に求人広告や人材紹介を活用した採用を行っている場合は、記載している情報が「求職者目線で魅力的か」を考え、必要に応じて修正する必要があります。

    4.採用イベントの開催

    採用イベントの開催も、求職者に企業の魅力を伝える重要な手法です。インターンシップや合同説明会、オンラインイベント、ミートアップなど、様々な形式で開催することができます。

    求職者は Web サイトでは得られない企業の生の情報を得ることができ、企業も求職者と直接コミュニケーションを取ることができるため、互いの理解を深められます。

    5.社員の口コミ・紹介制度の活用

    社員が主体となって、求職者に企業の魅力を伝えることができるのが、社員の口コミや紹介制度です。社員は自身の経験や知識をもとに求職者と接するため、企業の魅力をより具体的に伝えることができます。

    なお、社員の口コミや紹介制度を活用するには、社員に対して正しい情報提供やコミュニケーションの充実、報酬制度の整備など、様々な工夫が必要です。また、社員の意識改革が必要な場合もあります。

    社員の口コミや紹介制度をうまく活用することで、企業と社員、求職者の三者がWin-Winの関係を構築することができます。

    まとめ:採用にお困りの担当者へ

    採用マーケティングは激化する人材獲得競争を有利に進めるために重要な考え方のひとつです。

    採用活動を、企業主体から求職者主体に捉えなおすこと、採用活動に採用プロセスを広い視野で考えること、採用の各フェーズの現状を可視化することなどを通して、採用活動全体を最適化することができます。

    自社で活躍しうる人材を獲得し、企業の成長を早期に実現するためにも、当記事を参考にしていただけると幸いです。

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    また、「名物社員紹介」や「社長の意外な一面」など、 テキストだと分かりにくい社員の人柄やカルチャーを紹介できるため、求職者の深い企業理解をサポートすることが可能です。

    求職者はSNSやYoutubeなどの動画メディアに触れる機会が多く、動画は画像やテキストに比べて情報量が多いことから、動画は採用マーケティングの効率的な情報発信手段といえます。ぜひmoovyの動画サービスの活用をご検討ください。

    この記事を書いた人
    志村 匠斗

    東北大学大学院薬学研究科修了。新卒で株式会社キャリアデザインセンターに入社。大手企業から町工場まで100社以上の採用支援を行う。また300人以上の転職希望者へ面接対策を支援し、多くの転職成功者を輩出。その後SaaS系スタートアップ企業に転職し、新規事業企画とマーケティングに携わる。現在は地域企業の支援をするため、株式会社グローカルへジョイン。

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    会社名 株式会社moovy
    代表 三嶋 弘哉
    設立 2020年4月13日
    住所 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1丁目18−3 プレミア道玄坂ビル8階
    電話 050-3701-3401
    メールアドレス moovy_support@moovy.co.jp
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