【採用担当者必見】採用戦略を立てるために必要な5つのステップ
# 採用
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「新しい働き方」の登場、少子高齢化による採用活動の激化など、企業の人材獲得の難易度は年々上昇しています。
有力な人材を確実に採用し、企業の持続的な成長を実現するためにも、戦略的に採用を行うことは重要な意味を持ちます。
当記事では、採用戦略の必要性と、採用戦略を立てるために必要な「5つのステップ」をご紹介します。
企業の更なる成長を目指すためにも当記事を参考にしてみてください。
- 採用戦略とは自社の成長に必要な人材を獲得するために立てる戦略
- 採用活動は「組織」や「事業」を作る手段のひとつに過ぎない
- 採用手段から考えるのではなく、企業のありたい姿や市場の動きから戦略を組み立てるべき
この記事のまとめ
採用戦略とは何か
採用戦略とは、自社の成長に必要な人材を獲得するために立てる戦略です。
採用活動をはじめるにあたって、「どのような人材」を「どうやって獲得する」のかという方針を立てる必要があります。
採用戦略はこの方針の基盤となるものであり、採用活動を成功させるために無くてはならないものといえます。
そもそも人材は、企業経営において重要な4つの経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」のひとつです。
そして、「モノ」「カネ」「情報」は「ヒト」が動かさなければ価値を発揮しません。
そのため、人材こそが4つの経営資源のなかでも最も重要で基本的な経営資源といっても過言ではありません。
このことからも、採用戦略は企業経営においても極めて重要な戦略であり、企業が必ず検討しなければならない戦略だといえます。
採用における勘違い
残念ながら採用の現場では、ハローワークや求人広告、人材紹介など、人材を獲得する手段ばかりに注目が集まることが多いのが現状です。
採用を「人材を獲得する手段の検討」と考えるのは誤りです。
採用は組織や事業を作る手段であり、組織や事業は経営理念を実現するための手段であるという構造を忘れてはいけません。
よって採用戦略は、事業戦略や組織戦略と紐づけて考えるべきものです。
だからこそ、現場の人手が足りないから、とりあえず人材を採用しようとするのはあまりにも短絡的な考えといえます。
将来どのような事業や組織を作りたいのかを考え、その実現のために採用戦略を考え、計画を立てる必要があります。
なぜ採用戦略が必要なのか
前述の通り、採用現場では採用を急ぎたいがあまり、手技手法の検討からはじめてしまうことが多くあります。
現在、求人広告や人材紹介などの従来型の採用手法だけでなく、ダイレクトリクルーティング、ソーシャルリクルーティング、リファーラルといった新しい採用手法が増えています。
採用担当者の選べる手段が増えていることも、この傾向を加速させる要因になっていると推察できます。
ここでは、採用戦略を立てずに採用活動を進めてはいけない理由を3つ紹介します。
生産年齢人口の減少
内閣府の調査によると、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少していることがわかっています。
また、2030年には6,875万人( 2021年比7.7%減)、2050年には5,275万人(2021年比29.2%減)に減少すると見込まれています。
出典:内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」
そのため、人手不足は一層深刻な問題となり、企業の採用活動はますます激化します。
採用の難易度が上がるため、手技手法に依存した場当たり的な採用では太刀打ちできなくなってくることが容易に想像できます。
新しい働き方の誕生
新型コロナウイルスの拡大がきっかけとなり、WEB会議やテレワークといった新しい働き方が増えています。
会社に出社する必要性が薄れたことで、副業(複業)や兼業のハードルも下がっています。
様々な働き方が増えたことで、私たちはより自由にやりたい仕事を選べるようになっています。
一方で企業の採用活動はより難しくなるといえます。
求職者の仕事選びを制限していた地理的なハードルや時間的なハードルが無くなり、今まで考えてもいなかった採用競合が生まれる可能性があるためです。
特に地方の企業では、テレワークを推奨する首都圏の企業が採用競合になることが想定されます。
まだ見ぬ採用競合に打ち勝つ戦略を立てなければ、優秀な人材を奪われる結果に繋がってしまいます。
改善点の可視化
手技手法に依存した場当たり的な採用を行うと、改善点を見つけることが難しくなります。
採用がうまくいかない理由は、採用手法の良し悪しだけではありません。
自社の魅力が伝わっていない、面接官ごとに採りたい人物像がズレているなど、社内の共通認識がないことが採用できない理由になることも多くあります。
これらは、求める人物像やその獲得に向けた戦略・方針を明確にしていなければ、感覚的な振り返りで終わってしまい、ボトルネックの特定が困難な問題といえます。
社内の認識をそろえ、定量的・定性的の両面から採用活動のPDCAを回すためにも、採用活動の基盤となる採用戦略が重要な意味を持ちます。
採用戦略の立て方
経営戦略や事業戦略を立てる時、現在の市場や自社の状況などの分析から考えるケースがほとんどです。
これは採用戦略でも同様です。
まずは自社の立場や環境を把握し、その上で具体的な戦略を考えていく必要があります。
ここからは採用戦略の立て方を5つのステップに分けて解説していきます。
ステップ1:ありたい姿を整理する
まず最初に企業の存在意義や、それをどのように実現するかなど、自社のあるべき姿を整理します。
マーケティングコンサルタントであるサイモン・シネック氏が提唱した「ゴールデンサークル」という考え方を活用すると、過不足なく整理することができます。
企業としてゴールデンサークルを明言しているケースは稀ですが、経営理念やMVV(Mission Vison Value)という形で言語化している企業は多いのではないでしょうか。
経営理念やMVVを参考に、WHY、HOW、WHATの形にまとめなおすことで、ゴールデンサークルの骨子を作ることができます。
また、採用担当者がゴールデンサークルを作る場合は、経営陣や事業責任者からのヒアリングが必要になります。
自社を詳細に理解できるだけでなく、面接の場で求職者を口説く材料にもなるため、必ず時間を取ってヒアリングするようにしましょう。
ステップ2:自社の状況を整理する
企業は、変化する市場や景気、競合企業の動きに対応しなければなりません。
採用という枠組みに囚われず、自社がおかれている立場を整理し、戦略の基盤となる情報をまとめます。
自社の状況の整理は、SWOT分析を活用することで過不足なく整理できます。
SWOT分析とは、Strength(自社の強み)・ Weekness(自社の弱み)・ Opportunity(市場機会)・ Threat(脅威)の4つの項目に分けて自社を分析する方法で、広く戦略策定や経営資源の最適化に使われるフレームワークです。
難しく見えるかもしれませんが、社員を数名集めて、30分程度ブレインストーミングを行うだけでも、ある程度の情報は整理できます。
バイアスがかかることを防ぐため、経営陣からメンバーまで幅広い立場の社員を集めて、自社の置かれている状況を考える場を設けましょう。
ステップ3:採るべき人材を定義する
自社の状況を整理することで、ありたい姿と現状のギャップが見えやすくなります。
採るべき人材を抜け漏れなく検討するには、STP分析がおすすめです。
STP分析とは、セグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(狙う市場の決定)、ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)の3つの英単語の頭文字をとって名付けられた分析法です。
採るべき人材の定義では、セグメンテーションとターゲティングを行います。
まず、採用のポイントになりそうな要素を洗い出します(セグメンテーション)。
ポイントごとに点数を付け、そのかけ合わせを評価します(ターゲティング)。
例えば、中期経営計画でSaaSサービスを新たに立ち上げようとしているシステム開発企業の場合、WEB事業を推進できる人材の獲得が必要になります。
社内には既存のシステム開発の営業社員はいるはずです。
そのため、彼らをうまくマネジメントしながら、新規事業を推進する仕組みを作れる人材が望ましいと考えられます。
この場合、以下のように「年齢」「業界」「志向」でセグメントを切り、それぞれの項目に評点を付け、それらをかけ合わせることで「30代前半のWEB系業界の販促経験者」が望ましいターゲットであると絞り込むことができます。
評価が高いターゲットを絞り込めたら、より具体的な人物像(ペルソナ)を作成します。
ペルソナとは、経験やスキルの言語化だけでなく、ターゲットの趣味趣向や将来のビジョンを含めた具体的な人物像です。
採用イメージを明確にするためにも、できる限り詳細に作成します。
採用ペルソナの設計方法はこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
詳しくは以下の記事をご確認ください。
合わせて読みたい:採用ペルソナの作り方を徹底解説!求める人物像を獲得する有効な手法とは?
ステップ4:採用競合との差別化ポイントを明確にする
採るべき人材のペルソナを作成することで、自社が意識すべき真の採用競合が見えてきます。
採用競合からみた自社の立ち位置を明確にするためにも、STP分析が活用できます。
STP分析におけるポジショニングが、このステップに該当します。
ペルソナが興味を持ちそうな企業を考えたうえで、競合と自社を比較する戦略キャンバスを作成します。
戦略キャンバスとは、 「ブルー・オーシャン戦略」という書籍の中で、未開拓の市場分野を発見するための重要なツールとして提唱されているフレームワークであり、競争要因を並べ、提供価値の高さを明らかにするチャートを意味します。
採用領域で使用する戦略キャンバスでは、横軸に「提供価値」、縦軸に「顧客(応募者)が受け取る価値のレベル」をとります。
競合と比較して、何が優れていて、何が劣っているのかを、応募者の目線で整理します。
あくまでも応募者の目線だということがポイントで、リサーチ会社を使って精緻な情報を集める必要はありません。
なぜなら、エグゼクティブの転職でないかぎり、有償で情報を集めることがないためです。
インターネットや書籍で得られる情報をまとめ、「実体は異なるかもしれないが、社外の人間が得られる情報をまとめると、こういう立ち位置に見える」というレベルの整理を行います。
それぞれの企業が応募者にどんな価値を提供できるのかを考えることで、競合との差が明確になります。
競合と自社の差を可視化したら、「ペルソナから見て、自社がどのように映るのか」を考えます。
この整理には、3C分析のフレームワークが役に立ちます。
3C分析とは Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の項目ごとに分析を行う分析法です。
採用目的で活用する場合、「顧客」は「応募者」に置き換えられます。
このとき、自社の良い点を応募者に押し付けるのではなく、「応募者の未充足ニーズを自社がどのように叶えられるのか」、「採用競合では叶えられない理由は何か」といった目線で整理することが重要です。
ステップ5:採用手法を検討する
これまでの整理をふまえて、最適な採用手法を検討します。
ペルソナに合致する人材はどこにいるのか、人材に自社の差別化ポイントをどのように伝えるのか、ペルソナが自社への入社を決めるポイントは何かなどを考え、適切な採用手法や面接方法を考えます。
転職サイトやハローワークを始め、様々な採用手法が存在します。
それぞれのメリットデメリットを含め、採用の母集団形成については以下の記事で解説しています。
詳しくは以下の記事をご確認ください。
合わせて読みたい:中途採用の母集団形成の手法7選!意識すべき「質的な改善」とは
まとめ:採用にお困りの担当者へ
採用戦略とは、自社の成長に必要な人材を獲得するために立てる戦略です。
企業経営においても極めて重要な戦略であり、企業が必ず検討しなければならない戦略だといえます。
採用はただ人を集めればいいわけではありません。
企業のありたい姿や事業計画を実現する手段のひとつとして考えるべきものです。
そのため、経営陣や事業責任者を巻き込み、企業として納得感のある採用戦略を考えていく必要があります。
一朝一夕でできるものではありませんが、採用戦略を検討する過程で得られた気づきは、今後の自社の成長において重要になることが多くあります。
採用でお困りの場合はぜひmoovyにご相談ください。
- この記事を書いた人
東北大学大学院薬学研究科修了。新卒で株式会社キャリアデザインセンターに入社。大手企業から町工場まで100社以上の採用支援を行う。また300人以上の転職希望者へ面接対策を支援し、多くの転職成功者を輩出。その後SaaS系スタートアップ企業に転職し、新規事業企画とマーケティングに携わる。現在は地域企業の支援をするため、株式会社グローカルへジョイン。
採用動画の制作・掲載ならmoovyへ
会社名 | 株式会社moovy |
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代表 | 三嶋 弘哉 |
設立 | 2020年4月13日 |
住所 | 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1丁目18−3 プレミア道玄坂ビル8階 |
メールアドレス | moovy_support@moovy.co.jp |
URL | https://company.moovy.jp/ |
事業内容 |
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